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川谷絵音とフランス語

こんにちは、こもれびの志村です。


最近とっても驚いたことがあるので、今回はそれについて書きたいと思います。


つい先日、ゲスの極み乙女。が新曲を発表しました。

『もう切ないとは言わせない』という曲で、サビのファルセットがとても綺麗。

最初はYouTubeで聴いたのですが、その後iTunesで即買いしました。


Vo. 川谷絵音さんの音楽はもともと大好きで、ときどき川谷漬け状態みたいになり、

彼が手掛けるいくつかのバンドの曲をひたすら横断的に聴いたりしています。


さて、タイトルの「川谷絵音とフランス語」ですが、

もちろん川谷さんがフランス語を話すわけじゃありません。

ひょっとしたら話せるのかもしれないですが、

そんな噂を聞いたこともないしおそらくないでしょう。


じゃなぜフランス語?

実は川谷さん、たまにフランス語の音を使って歌っているのです。

もちろん歌詞はほとんど全て日本語です。

でも、日本語には本来ないはずの音を使って歌っている。


その正体こそ、フランス語の “ r ” です。

「のどで空気を擦らせて発音する」あの厄介な音ですね。

川谷さんがフランス語の “ r ” を使って歌っている?

信じがたい話です。

しかもそれは「ラ行」ではありません。

「その音」が出てくるのは、なんと「ハ行」なのです。


ここから少し、音声の話をします。


いきなりですが、日本語の「ハ行」にはいくつ子音があるか、ご存知でしょうか?

そりゃ一つの行なんだから一つだろう、と思うかもしれませんが、

実は「ハヒフヘホ」というのは、


ハ行:ハ、ヘ、ホ [ha, he, ho]

ヒャ行:ヒャ、ヒ、ヒュ、ヒェ、ヒョ [ça, çi, çu, çe, ço]

ファ行:ファ、フィ、フ、フェ、フォ [fa, fi, fu, fe, fo]


この三つの行のミックスなのです(カッコ内は発音記号)。

そしてご覧の通り、それぞれが異なる子音に対応しています。

「フ」をローマ字で “fu” と書いたりしますが、あれは使っている子音が違うからです。


勘のいい方は、ここで何かお気づきになったのではないでしょうか?

そう、「ハ行」、つまり [h] の子音の列だけ、音が三種類しかありません。

これは何故かと言うと、[hi]、[hu] という発音がほぼ不可能に近いからです。

試しに「ハ、ヘ、ホ」と言う時と “同じ子音” を意識して「ヒ、フ」と言ってみて下さい。


喉が詰まって、うまく言えないんじゃないでしょうか?

そう、とにかく言いづらいのです。

だから [h] はやめて、「ヒ」「フ」は [çi] [fu] で代用するんですね。


話を戻します。


川谷絵音さんは「ハ行」で歌うとき、フランス語の “r” のようになると言いました。

これはどうしてかと言うと、音声学的にみたとき、

[h] の音とフランス語の “r” がとても近い音だからです。

(発声のときに空気を遮る場所が微妙に異なるだけで実はほとんど同じ音)

川谷さんに限らず、普通の日本人でも気づかずに “r” の発音をしていることがあります。

ほっぺを指して「頬」[hoho] と言うとき、なんだか少し、

「二個目の h の方が強い」感じがしませんか?(※個人差があります)

このときの音が実は、フランス語の “r” に限りなく近いのです。


そして川谷さんは他の人に比べ、この傾向が強い。

ゲスの他にVo.を務めるIndigo la End というバンドに『夜汽車は走る』という曲があって

これのサビに「ただ夜汽車は走る あなたの頬を触るまで」という歌詞があります。

ここの “hashiru”、 “hoho” の音は僕にはフランス語の “r” にしか聞こえません。


さて、いったい何を聴いているんでしょうね、、、

という話は置いておいて、実はこのことに僕はけっこう前から気付いていました。

あくまで傾向の強弱の話ですから、これだけで驚くに値するかと言うとそうでもない。


でも、僕はさらにとんでもないことに気づいてしまったのです。


新曲の『もう切ないとは言わせない』が引き金となり、

“川谷漬け” になっていたとき、事件は起きました。


これまたゲスの極み乙女。の曲に『無垢な季節』というのがあります。

跳ねるようなピアノとドラムの爽快さがそれとは裏腹に、

夏の終わりの報われない恋情を引き立てるアップテンポナンバーです。


歌詞の一部を抜粋しましょう。


「見つめ合う真夏の訃報と轟き合う二人の心臓が

矛盾した現実に入り込む蜃気楼に僕らは溶け込んだ」


川谷さんの「ハ行」が問題でした。

「訃報」というワードに、二つ含まれているのがわかりますね(フホウ)。

これをローマ字で書けば “fuhou” となります。

同じハ行でも、「フ」の場合は違う子音を用いるのでした。

( [f] は唇歯音と言って、文字通り唇と歯を噛み合わせて発音します)


ところが。


よく聴くと、川谷さんはあきらかに「喉」を使ってこれを発音しているのです。

もともと [h] の音を含む「ホ」はまだわかるけど、

「フ」を喉から発音するというのは、普通の日本人ではまず考えられないことです。

フランス語のわかる方は、 “reuro” というスペルを思い浮かべてみてください。

川谷さんは「訃報」という歌詞を、この発音で歌っているのです。


、、、こんなことを発見して、一人で飛び上がるほどびっくりしていました。

たぶん喉の締め付けが一般人より強い方なんだと思いますが。

川谷さん、フランス語向いてるんじゃないですか?


(※本稿で用いた発音記号は便宜的に簡略化している箇所があります。)


ゲスの極み乙女。『無垢な季節』

https://www.youtube.com/watch?v=B51IEdlYF0k

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