• こもれびスタッフ

嘘と本当

今週の授業で塾生のMちゃん (高校生) とした話を、書き残してみたいと思います。

最近、

「他人の言葉が信じられない」

「周りの人がかけてくれる誉め言葉とかが信じられない」とMちゃんは言います。

僕は「言葉なんて所詮、ぜんぶ嘘だよ」と答えました。

雑な答えのように聞こえますが、これはこれでちゃんと答えているつもりです。

Mちゃんもそれに気づいて、「そうだよね」と言ってくれます。

「それが本当に本当の言葉だったら目を見ればわかる。でもそうじゃなくても、言われて嬉しい言葉をもらったんなら “ありがとう” って言ってとりあえず喜んでおけばいい」

これにも素直に頷いてくれました。

「じゃあさ、外国語を勉強するのも、外国語で嘘を言うためなの?」

この質問には困りました。

そうだね、そういうこともあると思う。

でも、と僕は一考しました。

「本当の世界を見てみたいと思わない?」

するとMちゃんは、さすがうちの塾生だけあって賢いのですかさず答えました。

「そっか。言葉は色眼鏡だもんね」

「そう。Mちゃんは日本語の眼鏡しか持ってないから、日本語の眼鏡を通した世界しか見られない」 

「先生は?」

「先生は勉強してフランス語の眼鏡も手に入れたから、フランス語の眼鏡から見える世界も知ってるよ。それに、二つの眼鏡を付け替えるときに一瞬だけ、何も間に通さない本当の世界が見える気がする」

するとMちゃんは言いました。

「えー、いいなぁ」

羨ましそうに、少し悔しがっているMちゃんを見て僕は嬉しくなりました。

学生に外国語を勉強させたいなら、憧れてもらわないでどうする。

それから今度は、Mちゃんの学校の話をしてくれました。

「うちの学校ではね、最近オンライン英会話が必修なの。絶対一回は受けて、レポート書かされるんだよ」

なんて気の毒な、と思いました。でもMちゃんはたくましい。

「私は楽しいからやってるけどね。先生といろいろおしゃべりしてる。こないだはクローンの話とか。人間まるごとはダメだけど臓器を作って人の役に立つならいいのかな、とか」

さすがだね。でも他の生徒さんたちはどう?やりたくない人も多いでしょ。

「うん、だからね、一回予約して記録つけて直前になってキャンセルするっていう技を編み出してる」

なかなか考えたね、そりゃそうなるよ。(先生はかわいそうだけど)

「なんで大人って、やれって言われたらやりたくなくなるってわからないんだろうね?こんな簡単なことなのに」

本当にそうだよね。

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