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文字入力もまた楽し


 こんにちは。突然蒸し暑くなりましたね…。

 前回のブログでは、コンピューターへの入力と手書きでは読点の頻度が変わるのではないか、という話を書きました。ありがたいことに多大なる反響をいただき…ということは決してないのですが、今回はそれに関係あるようなないようなお話でございます。


 話のきっかけは、またぞろ一冊の本。『チャイニーズ・タイプライター 漢字と技術の近代史』というものです。

 概要はリンク先で見ていただくとして、そもそも技術史を辿ってみると、コンピューターの前にタイプライターがあったのでした。残念ながら私は世代的にタイプライターが現役だった頃は知らず、物心ついたときにはいわゆるワープロ専用機が大活躍していたので、先人たちの苦労を目の当たりにしたことはありません。この本に書かれているのは中国語のことですが、事情は日本語もそう大差ないでしょう。


 タイプライターは原理上「変換」ということができないので、「選んだ文字がそのままタイプされる」しかありません。そうなると、ラテン・アルファベット以外を使う言語では何かしらの工夫をする必要がありました。まだ本自体を読み途中なのですが、読んだ範囲では、タイ語やアラビア語のタイプライターで施された改良が紹介されていました。そればかりか、「タイプライターを言語に合わせる」のではなく「言語をタイプライターに合わせる」ということまで行われたようで、タイ語では文字を減らしてしまったそうです。

 そうした文脈で、西洋では中国語を「近代性に欠ける、遅れた言語」とする考え方がかなりの程度支持されていたとのこと。曰く、「中国語は文法構造に問題があり、それゆえその話者は近代的思考ができない」など。しかもそうした考えは、20世紀中盤から21世紀初頭にかけてようやく改められてきたとのことで、ということは今でもそのように考えている人は一定数いるのでしょう。

 そうした箇所を読んでいるとさすがに胸がムカムカしてきたわけですが、いやはや、多数派というのはなんとも恐ろしいものです。


* * *


 話は再びコンピューターに戻りますが、現在、中国語の入力方法にはいくつか流派があるようです。中国本土ではピンインを入力して出てきた変換候補から選ぶ、つまり日本語のローマ字入力と同じような入力方法が主流なようです。ちなみに私はこの方法しか使えません。ですが、台湾では「注音符号」という読み仮名のようなものを使って入力する人が多いようですし、他にも漢字の字形を使う入力方法もあるようです。

 Wikipediaには「中国語入力方法」という項目もあり、なかなか面白いです。実はこのブログを書くために私もそのWikipediaの記事を参照したのですが、最後に挙げた「字形による入力法」というのに膝を打ちました。というのも、私のスマートフォンには「Googleピンイン入力」が入っているのですが、ピンインを入れて変換する方式と手書き文字で入力する方式の他に、もう一つ、謎の線が並んだ入力法があり、ずっとその正体が分からずにいたのです。それが「字形による入力法」だと判明しました。




 具体的にどう入力するかは言葉で説明するのが難しい上に私もまったく分かっていないのですが、(成功した例を挙げると)「木」という漢字を入力するためには、「横棒」「縦棒」「左払い」「右向きの点」の順にポチポチします(右上に書かれた小さな数字で言うと、「1」→「2」→「3」→「4」の順)。漢字を構成要素に分解して、それぞれの形を書き順に従って入れていくのです。慣れるまでは時間がかかりそうですし、手書き入力してしまった方が早いのではという声も聞こえてきそうですが、この入力方法を生み出した人には頭が下がります。「いっそのこと、形でそのまま入れてしまえば!」という発想、すごくないですか。

 スマートフォンが出てきたことで手書き入力はとても簡単になりましたが、それまでの手書き入力と言えば、マウスで一生懸命ヘロヘロの文字を書いて、何回かに一回正しく認識されるか(さすがに言い過ぎ?)でした。直接書けないフラストレーションを、擬似的にキーボードで描画することで解消してしまう…なんだかひたすらに感動しています。


 現代では、外国語学習をしているとその言語で文字を入力する機会も少なからずあります。単語や文法を覚えるのだけでも大変なのに入力方法まで…と思うこともなくはないですが、それはそれでまた、楽しみが一つ増えたと思えればいいですね。


※ここからは完全に余談ですが、私が就職した頃は、日本語を「かな入力」している人が何人かいました。聞くと、平成の初め頃に「電算機」、つまりコンピューターが導入された際に習ったのが、かな入力だったとのことでした。「ローマ字入力に比べると押すキーの数が少ないから、慣れればこっちの方が便利だよ」と言われて「なるほどねぇ」と思ったのでしたが、最近は「かな入力」派に出会うことも少なくなりました。

 外国語でなくても、日本語のかな入力を覚えて実践するのも楽しいかもしれませんね。それにしてもこのかな文字、いったいどんな規則で配列されているのでしょうか…。

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